なぜ邦楽囃子?


皆さんの街のお祭、そして日本を代表する伝統芸能「能」「歌舞伎」は「お囃子」がなければ成り立ちません!

「お囃子」は、日本の風土で生まれ受け継がれてきたすべての音楽の要素をとりいれ、
「歌舞伎」「日本舞踊」「三味線音楽」と、実に様々な芸能を伴奏音楽として支えてきました。
しかしながら、「邦楽囃子」というジャンルのイメージが湧かない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
邦楽囃子は、単独で公演を行うことはほとんどなく、主役になることはありません。
踊りやメロディを奏でる楽器と一体になって舞台を創り上げる「縁の下の力持ち」なのです。
だからこそ、その存在の意味と価値をぜひ知っていただきたいのです。

また、お囃子は単なる“リズム隊”ではありません。情景や心情の描写における高度な表現力を持ち、
日本の風土と人々が生み出した素晴らしい感性が凝縮されています。
例えば、「間(マ)が合う」「息(イキ)が合う」などの概念は邦楽囃子を語る上で非常に大きな要素です。
楽器から出る音以外の、言語化や記号化が難しい要素を大切にする奥深さは、まさに日本文化ならではの表現と言えます。
そんな繊細で豊かな表現を持つ音楽や楽器に、一人でも多くの子どもたちに触れていただきたいと切望致します。

今回の公演を体験することにより、歌舞伎や日本舞踊、そして三味線音楽を鑑賞する時の楽しみ方が大きく変わること間違いなしです。
また古典芸能で歌詞があるジャンル(浄瑠璃等)は、現代においては難解な言葉が多いため、
理解するまでにある程度の時間を要することが多々ありますが、邦楽囃子は器楽曲なので、
初心者でも受け入れやすく、邦楽鑑賞の入口として最適と考えます。
小学生、中学生という感受性豊かな世代に、日本の伝統文化に触れることは非常に意義深く、
その機会をより多くの子どもたちに提供できる本事業に大きな意義を覚えます。